(1)漢方製剤に関する記載のある診療ガイドライン (漢方CPG) 数
東邦大学医学メディアセンターの「診療ガイドライン」リストの1008件から取捨選択し、「日本国内発行の診療ガイドライン」が528件抽出された。この中の51件 (9.7%) に、何らかの漢方製剤に関連する記載 (伝統医学に関する記載や、植物薬、生薬などに関する記載を含む) があり、「漢方CPG」と称することとした。
さらに、東邦大学医学メディアセンターの「診療ガイドライン」リストには掲載されていないが、本報告では以下の1件を「漢方CPG」とした。
アレルギー性鼻炎の科学的根拠に基づく医療 (Evidence Based Medicine) によるガイドライン策定に関する研究 (同研究班作成; 鼻アレルギー診療ガイドライン -通年性鼻炎と花粉症- 2009年版付録CD-ROM, ライフサイエンス社, 2008)
本報告は、東邦大学医学メディアセンターの「診療ガイドライン」リスト収録の「鼻アレルギー診療ガイドライン -通年性鼻炎と花粉症- 2009年版」にCD-ROMとして付けられているものであり、漢方製剤に関する論文のエビデンス評価、推奨記載が収録されている。しかし、漢方製剤に関しては、書籍の記載との関連性が認められないことから、別のものとして扱った。
以上のことから、東邦大学医学メディアセンターの「診療ガイドライン」リストからみつけた51件に上記1件を加え、52件を「漢方CPG」とした。
(2)除外ガイドラインリスト
除外された、漢方の記載のあるガイドライン 29件は以下のようであった。
- 1) 外国のCPGの翻訳版 (5件)
- ・高齢者うつ病診療のガイドライン
- World Psychiatric Association
南江堂、2003年12月10日 - ・JNC7 エクスプレス 高血圧の予防、発見、診断および治療に関する米国合同委員会の第7次報告
- 監訳: 藤田敏郎 (東京大学大学院医学系研究科腎臓・内分泌内科教授)
メディカルトリビューン、2003年6月1日 第1版 - ・喘息の診断・管理 NIHガイドライン 第3版
- 米国喘息教育・予防計画委員会 (監訳: 泉孝英)
医学書院、2006年1月15日 第3版 - ・ESH-ESC 2007 高血圧管理ガイドライン
- The Task Force for the Management of Arterial Hypertension of the ESH and ESC
ヘスコインターナショナル、2007年8月8日 第1版 - ・Global Strategy for Diagnosis, Management, and Prevention of COPD 2008
-
GOLD (The Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)
http://www.goldcopd.org/Guidelineitem.asp?l1=2&l2=1&intId=2003
- 2) 医療倫理に関するガイドライン (1件)
- ・医師の職業倫理指針 -平成20年3月-
-
日本医師会 会員の倫理・資質向上委員会
(委員長: 森岡恭彦 日赤医療センター名誉院長・日本医師会参与)
社団法人 日本医師会、2008年9月1日
http://www.med.or.jp/nichikara/syokurin.html
- 3) すでに改訂版が作成されているCPGの旧バージョン (11件)
- ・喘息予防・管理ガイドライン2006
- 社団法人日本アレルギー学会 喘息ガイドライン専門部会
(部会長: 大田健 帝京大学医学部内科)
協和企画、2006年6月23日 第1版第3刷 - ・尿路結石症診療ガイドライン
- 日本泌尿器科学会、日本Endourology・ESWL学会、日本尿路結石症学会編
金原出版、2002年12月 - ・科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン 1. 薬物療法
- 日本乳癌学会編 乳癌学会診療ガイドライン薬物療法小委員会
(小委員長、ガイドライン作成責任者: 渡辺亨 国際医療福祉大学臨床医学研究センター)
金原出版、2004日6月11日 - ・虚血性心疾患の一次予防ガイドライン (2001)
- 循環器病の診断と治療に関するガイドライン合同研究班
(日本循環器学会、日本心臓病学会、日本動脈硬化学会、日本高血圧学会、日本糖尿病学会、日本老年医学会、日本栄養・食糧学会、日本更年期医学会、日本小児循環器科学会、日本心臓リハビリテーション学会)
Japanese Circulation Journal 2001; 65 Suppl. V: 999-1076. - ・抗HIV治療ガイドライン 2008年3月版
- 平成19年度厚生労働科学研究費補助金 エイズ対策研究事業
(服薬アドヒアランスの向上・維持に関する研究班)
(主任研究者: 白阪琢磨 国立病院機構大阪医療センター) - ・科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン 2005年版
- 科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン作成に関する研究班
(主任研究者: 幕内雅敏 東京大学医学部教授)
金原出版、2005年2月28日 第1版第1刷発行 - ・高血圧治療ガイドライン2004
- 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会
(委員長: 猿田享男 慶應義塾大学医学部内科教授)
ライフサイエンス出版、2004年12月 - ・鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症-2005年版
- 鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会
(編集顧問: 奥田稔 日本医科大学名誉教授)
ライフ・サイエンス、2005年11月1日 改訂第5版第2刷発行 - ・アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2006
- 社団法人日本アレルギー学会 アトピー性皮膚炎ガイドライン専門部会
(委員長: 山本昇壯 広島大学)
協和企画、2006年5月25日 第1版第1刷発行 - ・脳ドックのガイドライン2003
-
日本脳ドック学会 脳ドックの新ガイドライン作成委員会
2003年9月発行
http://www.snh.or.jp/jsbd/pdf/guideline2003.pdf - ・小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン 2005
- 日本小児心身医学会 起立性調節障害診断・治療ガイドライン作成ワーキンググループ
子どもの心とからだ (日本小児心身医学会雑誌) Vol.15 No.2、 2007年8月発行
- 4) 一般向けなど、CPGのダイジェスト・バージョン (12件)
- ・胃がん治療ガイドラインの解説 第2版
- 日本胃癌学会編 胃癌治療ガイドライン検討委員会 (委員長: 佐々木常雄)
金原出版、2004年12月20日 第2版 - ・乳がん診療ガイドラインの解説 2006年版
- 日本乳癌学会編
金原出版、2006年7月7日 第1版 - ・心身症診断・治療ガイドライン 2004年 ダイジェスト版
- 心身症の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究会 (主任研究者: 西間三馨、小牧元)
協和企画、2004年10月28日 ダイジェスト版 第1版 - ・アレルギー性鼻炎ガイド 2005年版
- 鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会 (監修: 馬場廣太郎 獨協医科大学医学部教授)
ライフ・サイエンス、2005年12月20日 第1版 - ・2005年版 鼻アレルギー診療ガイドライン ダイジェスト
- 鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会 (監修: 馬場廣太郎)
ライフ・サイエンス、2006年1月25日 第1版 - ・患者さんのためのEBMに基づいた喘息治療ガイドライン
- 厚生労働省医療技術評価総合研究喘息ガイドライン班 (監修: 宮本昭正)
協和企画、2002年2月22日 第1版 - ・『喘息』の医療提供者向け診療ガイドラインの解説集 (2004年)
- Minds
- ・EBMに基づいた患者と医療スタッフのパートナーシップのための喘息診療ガイドライン2004(成人編)
- 監修: 宮本昭正 (東京大学名誉教授)
協和企画、2004年9月1日 第1版 - ・慢性肝炎理解のための手引き
- 日本肝臓学会、2007年12月
http://www.jsh.or.jp/citizen/guidance/book02.pdf - ・これで治す最先端の頭痛治療
- 日本頭痛学会編 厚生科学研究事業 日本頭痛学会
慢性頭痛の診療ガイドライン市民版作成委員会
保健同人社、2006年11月20日 初版 - ・ザ瘡治療ガイドライン
- 日本皮膚科学会 ザ瘡治療ガイドライン策定委員会
(委員長: 川島眞 東京女子医科大学皮膚科)
日本皮膚科学会誌 119 (5) 2009 付録 - ・患者さんのための頸椎後縦靭帯骨化症ガイドブック: 診療ガイドラインに基づいて
- 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会
頚椎後縦靱帯骨化症ガイドライン策定委員会
南江堂、2007年11月10日発行
(3)タイプ分類
52件の「漢方CPG」を漢方製剤が記載されている部分がエビデンスに基づいた記載であるかどうかに関し検討し、以下のTable 1のように3つのタイプに分類した。

ここで、タイプAに分類されたCPG中にも「引用論文が存在するが、エビデンスグレードと推奨のグレーディングのないもの」や「引用論文も存在せず、エビデンスグレードと推奨のグレーディングのないもの」が、タイプBに分類されたCPG中にも「引用論文も存在せず、エビデンスグレードと推奨のグレーディングのないもの」が含まれる場合があった。
すなわち、漢方製剤についてエビデンスに基づく推奨度記載のある質の高いCPGは少ないことが明らかとなった。
本分類はCPG中の漢方に関する記載がエビデンスに基づいているかどうかに関する分類であり、CPG全体がエビデンスに基づいたものであるかどうかの分類ではない。また、本分類は漢方薬使用の推奨レベルを表現したものでもないので、留意されたい。
(4)項目ごとの整理
漢方製剤に関連する記載のあったCPGを14の項目で整理し、タイプA、タイプB、タイプCごとにCPGの対象疾患のICD10 (2003年改訂版) コード順に記載し、漢方CPG Tableを作成した 。
