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Executive Summary

日本東洋医学会 EBM特別委員会・診療ガイドライン・タスクフォース (Task Force on Clinical Practice Guidelines: CPG-TF) は2005年6月に設置された。2009年からは エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース (ER/CPG-TF)として活動している。

当初は、WHO西太平洋地域事務局 (WHO Regional Office for the Western Pacific: WPRO) が企画した「伝統医学診療ガイドライン」プロジェクトへの対応が主たる目的であった。しかし、そのプロジェクトには組織的・方法論的問題があり、このことを日本から厳しく指摘し、一時期その活動は中断した。一方、日本における伝統医学を含むCPGの現状調査の必要性が浮かび上がってきた。特に漢方製剤についての現状分析は、WHO/WPROのプロジェクトにも貢献すると考えられた。そこで、漢方製剤の記載を含む日本国内発行のCPGの調査を2006年から開始した。

方法としては、システマティックレビューに準じた網羅的方法を取ることとした。まず、国内のCPGを最も多く収集している東邦大学医学メディアセンターの協力を得て、その「診療ガイドラインリスト」に2010年3月31日時点で収録されていた1008件を対象とした。そこには今回の調査対象である「日本国内発行のCPG」以外のガイドラインも収録されていることから、下記を除外した528件を調査対象とした。

  1. ⅰ) 外国のCPGとその翻訳版
  2. ⅱ) 医療倫理に関するガイドライン
  3. ⅲ) 動物実験や治験など研究に関するガイドライン
  4. Ⅳ) すでに改訂版が作成されているCPGの旧バージョン
  5. Ⅴ) 一般向けなど、CPGのダイジェスト・バージョン
  6. Ⅵ) その他、臨床診療を目的としないガイドライン

また、調査過程で見出された漢方製剤の記載を含むCPGも追加した。ついで、すべてのガイドラインを目視により調査し、漢方製剤に関連する記載を抽出しリスト化した。

結果は以下のとおりである。

  1. (1)528件の「日本国内発行のCPG」の中で、なんらかの漢方製剤に関連する記載があるCPGは51件(9.7%)であった。

  2. (2)他に見出された1件を含め52件を以下の3つのタイプに分類した。

    タイプA:引用論文が存在し、エビデンスと推奨のグレーディングがあり、その記載を含むもの
    -8件
    タイプB:引用論文が存在するが、エビデンスグレードと推奨のグレーディングのないもの
    -19件
    タイプC:引用論文も存在せず、エビデンスグレードと推奨のグレーディングのないもの
    -25件

    すなわち、漢方製剤についてエビデンスに基づく推奨度記載のある質の高いCPGは少ない。

  3. (3)漢方製剤のエビデンスがあるにもかかわらずCPGで取り上げられていないことがある。

     日本東洋医学会 EBM特別委員会・エビデンスレポート/診療ガイドライン・タスクフォース (ER/CPG-TF) は、同じ時期に、「漢方治療エビデンスレポート 2010 -345のRCT-」において、1986-2009年の漢方製剤のRCT 415論文、メタアナリシス 1論文について346の構造化抄録 (RCT: 345, メタアナリシス: 1) を作成している。この415論文のうち、CPGに引用されていたのはわずか22論文のみであり、本来それがCPGに取り込まれるべきなのに、取り込まれていない漢方薬のエビデンスが存在することも明らかになった。今後は、漢方薬の質の高いエビデンスが各CPGに反映されるべきであると考えている。

本報告には漏れなどもあると考えられる。会員からのご意見や情報を、ebm-cpg@jsom.or.jp宛にいただければ幸いである。

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