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2. 本プロジェクトの背景 (background)

2001年6月、日本東洋医学会に、東洋医学におけるエビデンスに基づく医療 (evidence-based medicine: EBM) の推進のためEBM特別委員会が設置され、秋葉哲生委員長を中心に専門委員によって漢方治療の臨床エビデンスの整理がなされた。この作業の結果として、まず2002年に『漢方治療におけるEBM 2002年中間報告』(日本東洋医学雑誌 2002; 53(5) 別冊)、つづいて2005年に『漢方治療におけるエビデンスレポート』 (日本東洋医学雑誌 2005; 56 EBM別冊号) が発行された。

レポートの対象論文の基準は1986-2002年に公表され、1986年の新製剤基準実施以降の医療用漢方製剤を使用し、同一方剤を観察期間の始めから終了まで用いた10症例以上の論文 (一部、学会や研究会記録を含む) であり、比較試験だけではなく症例収集研究も含まれるものであった。論文は日本漢方生薬製剤協会が独自に収集・整理しているものの中から、日漢協により上記基準に合致するものが選択され、提供された。最終報告の『漢方治療におけるエビデンスレポート』では905論文が日漢協より提供され、EBM特別委員会により93論文が採択され、対象、試験デザイン (方法、期間、その他) 、結果、漢方的考察、安全性評価の5項目からなる構造化抄録が作成され、また、論文評価、推奨度記載がなされた。

本レポートの作成は当時としては画期的な活動であり、基礎的な作業がなされたものであるが、収載されていない論文は、見つからなかったためなのか、見つかったのだが選別過程で除外されたのか区別できないなど、いくつかの問題点も明らかとなった。

岡部哲郎. 漢方のエビデンスは現在どの程度の状況にあるか? –エビデンスレポートに見る現状と今後の課題–. 日本東洋医学雑誌 2007; 58(3): 435-41

2005年から始まる日本東洋医学会 第2期EBM特別委員会では第2代委員長 津谷喜一郎のもとに、これら先人の成果を引き継ぎ、網羅性と透明性をベースに、システマティック・レビューに準じた作業方針がとられ、1986年以後に公表されたランダム化比較試験 (randomized controlled trial: RCT) に限定し、世界的な標準に基づく構造化抄録 (structured abstract) 集の作成を行うことになった。

また得られた結果の「つかわれ」方にも配慮がなされ、日本東洋医学会のweb上で公開し、アクセス性を高めることとした。これは以下の理由による。

医療情報の洪水の中に身を置くものにとってどの情報が目前の患者に利益をもたらすか的確な判断を下すのは容易ではない。エビデンスに基づく医療は、通常、step 1: 問題の同定、step 2: 情報の収集、step 3: 情報の吟味、step 4: 患者への投与、の4つのstepに分けられる。だが、多忙な臨床家にとって、各種データベースを検索し利用できる文献を絞り込み、それらすべてを吟味し何が信頼できる適切な治療薬か決定するのは容易なことではない。まして、漢方を専門としない医師がどの漢方薬を使用すべきかをMedlineなどの一般的なデータベースで検索しても判断に苦しむことが多い。

そこで、あらかじめ第三者がstep 2とstep 3の作業を肩代わりするシステムの開発が望まれる。網羅的に情報を収集し、吟味し、わかりやすい、またアクセスしやすい形で提供するものである。すなわち、このpre-appraisalとIT技術の利用が、第2期の活動ではより明確に意識されることとなった。

第2期以後の活動のアウトカムはversion 管理をしたうえで、本レポートのp. iiに示されるように学会のweb (https://www.jsom.or.jp/medical/ebm/er/index.html)で順次公表されてきた。また初期の4年間の活動のまとめは、第60回日本東洋医学会学術総会(東京)において、フォーラム「漢方のエビデンスを『つたえる』」として、診療ガイドライン・タスクフォース(CPG-TF)、ベストケース・タスクフォース(BC-TF)の活動とともに報告された(日本東洋医学雑誌2009; 60別冊号, 第60回日本東洋医学会学術総会講演要旨集: 157-72)

のフォーラムで用いられた全10人の演者のスライドはすべて、上記講演要旨集の10編の抄録とともに、冊子として出版され、また学会web でも公開されている(https://www.jsom.or.jp/medical/ebm/doc/Forum2009.html)。

2009年4月以降の第3期と第4期EBM委員会 (2012年6月にEBM特別委員会から改称) では津谷が委員長を続行し、2015年9月の第5期からは元雄良治が、2019年6月の第6期からは小暮敏明が、委員長として、活動を引き続いている。第2期のエビデンスレポート・タスクフォース (ER-TF) と診療ガイドライン タスクフォース (CPG-TF) の2つは、その活動とアウトカムが強く関連する性格であることから、2009年から5年間は、エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース (ER/CPG-TF) として合体したが、その後それぞれの活動内容の相違から、2014年6月からは再度、エビデンスレポート・タスクフォース (ER-TF) として更新作業、およびその英語版の作成を継続している。なお、各委員会の構成委員などはp.69以降の、9. 日本東洋医学会EBM委員会メンバー(participants)に各期ごとに記されている。

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