漢方医学の診断・治療は、患者からの問診で得た自覚症状や症候に関する情報を重視しています。その中には西洋医学ではあまり着目しないものも少なくありません。「冷え」、「こり」などはその代表です。
「こり」とは、患者の体表面およびそれに近い部分の硬く感じる部位であり、多くの場合、按圧することにより治療者には抵抗感として、患者には痛みとして感じ取られます。その部分を温めて循環状態が改善し、こりが軽くなることがあります。漢方薬による湯液治療の場合はもちろん、鍼灸治療ではこの「こり」の位置や程度が治療に使用する経穴を選ぶ際の大事な手がかりとなります。