夕方、ライターさんのマンションに向かいました。彼女はこれまで様々な健康雑誌でのライター歴があり、私も何度か一緒に仕事をさせていただいたことがありました。そのたびに彼女の博識には驚かされていましたので、彼女の部屋を覗くことは大変楽しみです。
私が利用している一つ前の駅が彼女の利用駅、その駅から少し歩いたところに彼女の住むマンションがありました。一人暮らしの女性の部屋らしく片付いた部屋でしたが、本棚の中には彼女が携わった健康の関する本や取材資料がきちんと整理されていました。その中には「漢方」と言う文字の入った本も・・・。
「ずいぶんたくさんの本を書かれたのですね・・・?」
「私の仕事はライターですから、常に様々情報に耳を傾けています。みんなが興味を持ち始める前にその情報を集めます。一番大事にしているのは自分がそのことに本当に興味を持てるかということ。漢方についてはずいぶん前から興味を持ち始めて、いろいろ調べています。」
「それで、何か新事実は見つかったのですか」
「私もあなたと一緒で何となくうさんくさいとか、怪しげなイメージで捉えていました。なんとなく気休め程度の薬としか考えていませんでしたが、最近は開業医だけでなく大学病院でも使用されたり、研究されているようです。漢方薬がどうして効くのかという作用メカニズム等についてもようやく研究成果が出始めています。それらのデーターはその分野の西洋医学の学会で発表されています。日本の漢方医学は時代の最先端医療になりつつあります。あなたも時代に乗り遅れないように、勉強してみてはいかがですか」
私は日本人の健康に貢献しているのは江戸時代末期にもたらされた西洋医学であり、それ以前の日本には「野蛮な医療」しか存在していなかったと考えていました。しかしその考えは、先生との出会いから変わりつつあります。ライターさんから漢方関係の本や新聞記事のスクラップ、そしてもちろん『養生訓』もお借りしました。